アメリカのくそ医療保険に救われた話 ①
前回のブログで書いたように、起こったことを書き留めることによって、頭と心の整理をしたいという理由でこのブログを書いています。特にアメリカ在住のジャパニーズの方、あくまでも私個人の経験談ですが、アメリカの保険の話もあるので参考にしてみてください。
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1ヶ月ほど前、甲状腺検査のため専門医のところへ行った。がん騒ぎになってから何度もCTスキャンを取るようになったのだが、一番最初の1月に撮ったスキャンで「甲状腺腫瘍が見えるので、胃がんの手術が終わってから、専門医に診てもらってください」と言われたからだった。
胃がんの次は甲状腺もか、、、と不安になったが、先ずは胃がんの手術に集中しないとだから、とりあえず甲状腺のことは、一旦横に置いておいて、考えないことにした。
ところがどっこい、胃がんの手術後、いくつもの合併症に見舞われ、結局甲状腺のことは’横’どころか、どっかにふっ飛ばされた。
それもそのはず、1月から5月までに、4回の入院、3回の手術、2回のカテーテル、1回の経鼻胃管を経験する悪夢の日々が待ち受けていたのだった。
甲状腺腫瘍の生検結果は良性だったのでかーなーりほっとした。
最後の手術から数ヶ月経ち、体力も以前のように戻ってきたのに、どうしても甲状腺検査の予約を入れる電話が出来なかった。
「またがんだったらどうしよう」という不安がぐるぐる周り、考えるだけで心拍数が上がった。なかなか電話をかける勇気が出ない。
そもそも、私の胃がんは症状は全くなく、たまたまやった内視鏡で「胃がんです。たちの悪いタイプのがんなので、すぐに手術が必要です」と突然言われた。その後「生きること」「死ぬこと」を何度も考えさせられる経験をしたからか、PTSDのように、なんでも「がんだったらどうしよう」とビクビクする今の自分がいる。
実は肩にあるシミも「皮膚ガンだ!」と怖くなり、皮膚科へ駆け込んだこともつい最近ありw。
甲状腺腫瘍の検査は、長い注射針を首に刺して、甲状腺に出来た結節(嚢胞?)細胞の一部を取り生検に出す。
以前の私だったら「え?!ちょっ、それ首に刺すんかいっ‼︎」と怖かっただろうけど、4ヶ月間病院で多くの痛い経験をした私は、注射針を出されても全然平気。
そんな自信いらんけど。
ということで、甲状腺騒と皮膚ガンは一件落着し、とりあえず安心して2024年を終えることが出来た。
本題に入ります↓↓
アメリカでは2018年に、大腸がん検査推奨年齢が50歳から45歳に下がった。2023年に45歳になった私は、年に一度の健康診断でドクターに、「45だから、大腸検査の年だね。でもあなたは健康だから、腸内視鏡(colonoscopy)ではなく、Cologuard(便検査)が簡単で良いと思う。手配しておくね。」と言われた。
なんか違いは分からんけど、まあドクターが勧めるので「それで良いやろ」となんの疑いもなくドクターの指示に従った。
が、Cologuardで*陽性結果が出てしまったため、結局腸内視鏡をすることに。
*陽性の結果が出ても、それががんなのか、ただのポリープなのかはCologuardでは解明不可能。
今度は腸内視鏡(colonoscopy)専門クリニックに予約を入れた。ここのドクターはインド系の女性で「私Cologuard本当に嫌いなのよね。間違いの結果が出ることが多くて、患者さんを無意味に心配させちゃうから」と言っていた。
$171の診察料(Drと話をしたのは5分程度)を払い、今度は腸内視鏡の予約デスクへ。そこで注意事項の説明を聞き、今回の腸内視鏡の見積が出された。後から頭に来てその紙を捨てたので、きっちりした値段は覚えていないが、$1600 - $1700くらいだった。
「え?! 保険を入れてこの値段?」
「そうです。疑問がある場合は保険会社に直接問い合わせてください」
45歳だから無料なはずなのに、どう言うこと?と思ったけど、近い友人の中で2人も大腸がん経験者がいるので、仕方がなく了承するサインをした。
そして腸内視鏡検査予約日の1週間前のある日、「あなたが腸内視鏡で使う施設は、あなたの医療保険のネットワーク外です。以下の金額を当日支払ってください」というメールがきた。
値段は↓(実際のメールからのコピペ)
Patient’s estimated portion is $2,225.00.
今のレートで約34万円!
腸内視鏡自体の見積もりと合わせると4千ドル近く。
予約の1週間前にこれはないやろっ!ヤクザかっ!
日本だと「すみません、、、」と下から行くのとは反対に、アメリカでカスタマーセンターとやり取りするのは「なんでやねんっ」と強気で臨む必要があるため、心にエネルギーをためてから、保険会社に電話。合計3人と1時間半くらい(待たされる時間も含め)会話して疲れ切った後、分かったこと:
最初にしたCologuardがスクリーニングとして処理され、次からの追加医療行為はDiagnostic(病気診断)に分類される。
内視鏡で腸内をDrが見るのは無料(ここまではスクリーニングのカテゴリーに入る)。でもDrがポリープなどの異変を見つけ、それを触った瞬間からお金がかかる。
*中年になれば小さいポリープがあることはよくあるので、保険によってはCologuardではなく、最初から腸内視鏡をすることをお勧めします。
腹が立った私は、即予約をキャンセルした。
さて、どうするか。。。
アメリカに住んでいる日本人は、高額の医療費を避けるため、日本に帰る際によく歯医者や病院に行く。私もその線で試してみることにした。
今回日本で検査する場合、何か見つかった時に、アメリカで治療出来るように英語で診断書を出してくれるクリニックを探す。オンラインでのサーチと、日本で人間ドックなどの経験をしている友人達から情報を聞いた。
診断書の英語訳は別途料金でOKで、北大阪エリアの実家から車で行ける距離のクリニックを確定し、腸内視鏡の予約を入れた。
年末年始のフライトは高額だが、ラッキーなことに夫が日本往復できる分のスカイマイルをくれたため、日本で年末年始を過ごせることにウキウキで、内視鏡検診なんてワクワク日本帰省の”ついで”だった。
出発から数週間前のある日、予約を入れたクリニックのサイトを見ていると、胃の内視鏡もやっていることに気づき、「あれ、麻酔で無意識の状態なら、胃の内視鏡も一緒にやってもらったほうがお得なんちゃう?」と、私の中の、大阪のおばちゃんがひらめいた。
早速大阪の父に電話を入れてもらい、2、3万の追加で胃の内視鏡も一緒にやって貰えるということなので、腸と胃のダブル内視鏡検査に変更してもらった。
この大阪のおばちゃん決断が、多分私の運命を変えたと思う。
アメリカでクリスマスを過ごした後、いよいよ日本へ✈️
元旦の初詣は、従姉妹たちと共に箱根の神社へ。長い参列者の列に並び、お参りを終え、帰りがけ急にそこらじゅうの携帯から地震警報が鳴り響いた。ヒエッとなり皆構えたが、位置が石川県だったため予定通り車で帰ることに。
それから入ってくるニュースは、とても悲しく暗く、めでたいお正月とはかけ離れたものだった。さらに次の日には、羽田空港で飛行機事故も起こり、アメリカの友人達から “Are you safe in Japan??”のメッセージがいくつも届く。
どこまでも暗く不吉な年明けだったが、それはそれで、これからの内視鏡検査を不安に思う気持ちはなかった。
先生(関西弁):「胃の検査を追加して本当に良かったと思いますよー。パッと見た感じでは見逃してしまう小さい腫瘍を、2種類のライトで照らして見つけました。アメリカのそこらへんのドクターではまず見つけてもらえないでしょう。生検に出しますが、結果がどうであれなるべく早く取ることをお勧めします」
という内容の話だった。今から思えば、先生はこの時点でがんだと思っていたのだと思う。腫瘍があると言われたのに、めちゃ食欲あるし、健康だし、ただの潰瘍かポリープだろうと私も父も特に心配することなく帰路に着いた。
父:「あの医者、アメリカのドクターじゃ見つけられんって、偉い自信やな。ほんまかいな。」
と、いつものコテコテ大阪人っぷりで冗談を飛ばしていた。
*その後、父は高級カステラ10本(20本だったかなw)を持って、このクリニックのドクターと看護師さんたちにお礼をしに行くことになる。
生検の結果が出たのは6日後で、すでに私はアメリカに帰っていた。
次回へ続く